Chromebook「Acer CB3-111」買ってみた
Acer Chromebook「CB3-111」を買って1ヶ月ほど使ってみました。
いままで旅行などお出かけのお供には初代Surface Proを使っていました。 彼も悪くないマシンなのですが第三世代Core i5なせいか何なのか、どうにもこうにもバッテリの持ちが悪いです。新幹線でコンセントのある座席を取れないと絶望します。 Power Coverを買えばある程度はバッテリが持つようになるそうですが、これがまた2万円ぐらいします。Surfaceは周辺機器がとても高いのが欠点のひとつです。
そこで、バッテリのためにそんなにお金を払うぐらいだったら安くてバッテリの持ちが良いと評判の Chromebook を買ってしまえば良いのではないかと思ったのです。 出先で作曲や開発をすることはあまりないのでわざわざWindowsやMacを持ち運ぶ必要は無いのではないか、でもスマホやタブレットでは心細い、そこでChromebookなのです。
Acer Chromebook CB3-111
まずCB3-111のスペックを手元にある端末と比べてみました
Surface Pro (初代2012年モデル) |
Macbook Air Early 2014 |
Acer CB3-111 | |
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発売日 | 2012 | 2014-4-29 | 2015-2-25 |
RAM | 4GB | 4GB | 4GB |
CPU | Core i5 3317U | Core i5 4260U | Celeron N2840 |
OS | Windows | MacOSX | ChromeOS |
OS Bender | Microsoft | Apple | |
Maker | Microsoft | Apple | Acer |
Display | 10.6inch | 11.6inch | 11.6inch |
解像度 | 1,920x1,080 | 1,366×768 | 1,366×768 |
Weight | 903+255g | 1,080g | 1,100g |
カタログスペック上はCPUが大きく見劣りします。
ハード面とソフト面の二軸で、細かく見てみます。
ハードウェア面
キーボード
とても「普通」な、パンタグラフ式のノートPC用キーボードです。少なくともMacbookやSurfaceのそれよりは打ちやすく感じます。 流石にメインマシンのiMacで使っているハッピーハッキングには遠く及ばないですが...例えば、Microsoft Wedge Mobile Keybordとかよりも好きです。
配列もWindows/Macで慣れ親しんだそれに近いので特に戸惑いはありませんでした。 Chromebookは並行輸入品の英字キーボード版も多く出回っているようですが、今回購入したのは普通に日本語キーボードでした。
ディスプレイ
これはやばいです。数少ない弱点の一つ。というか 最大の欠点 です。
視野角がめちゃくちゃ狭く、角度を顔面とあわせてもくっきり見えるのは真正面だけで、隅の方は色が薄くなります。 色もなんか青っぽく、コントラスト?が弱くて薄い文字や罫線などは視認性が悪いです。 デザイン系の仕事には使いものにならないレベルだと思います。
私が普段使っているiPadやAQUOSってディスプレイ良かったんだな...と改めて実感できます。 画面にこだわるならもう少し上のランクのを選ぶべきです。
なおHDMI端子がついており、外部ディスプレイに接続して出力すると普通にきれいな画面で作業することができます。
バッテリ
公称8.5時間だかに偽りはなく、1日中使えます。
私の用途だと、出先ではせいぜい移動時間やセミナー中の数時間を耐えてくれれば十分なので、Surface(4時間持たない)ではギリギリだったのですが、Chromebookは余裕があります。
トラックパッド
Macのそれと同じくらいのレベルで使いやすいです。
基本的にMacに慣れていれば似たような感覚で使えますが、3本指ドラッグが範囲選択ではなくChromeのタブ切り替えになっているのが独自です。 Macの範囲選択もChromebookのタブ切り替えもどちらも使いやすいので、一長一短でしょう。
ボディ
樹脂製で全体的に安っぽいです。 この辺りはさすがにMacbookやSurfaceの高級感には遠く及びません。
なお重量は1.1kg。Macbook AirやSurface Proのような一般的な11インチモバイルノートと同程度です。
あと特徴的なのは、ガンガン使っても発熱やファンの音がほぼありません。 ノートPCというよりもスマホやタブレット感覚です。
ソフトウェア面
OS
ChromebookはChromeOSという特別なOSを積んでおり、WindowsやMacと大きく異なります。
まずOSの起動がかなり早いです。 ですが最近はWindowsやMacもこの辺り頑張っているので、あまり比較になりません。
ChromeOSはアップデートも一瞬で終わります。
Chrome
OSの起動は爆速ですが、Chrome自体は普通のChromeです。 特に早いとか遅いとかはありません。
CB3-111はCPUがCeleron 2コアという一見 イマドキのスマホ以下 な貧弱性能に見えるので心配しましたが、気になるような動作の遅さとかはありませんでした。
なおChromeにログインすると普段使っているChromeアプリや拡張機能が自動的に同期されて、一瞬でいつもの環境が手に入ります。 これはChromebookに限りませんが便利です。 WindowsやMacで手に入るChrome拡張機能は一通り対応しているようです。
基本的に、ChromebookというぐらいなのでWindowsやMacのChromeでできることはできるし、それ以上のことはできません。
コンソール
croshというコンソールが使えるというのでわくわくしながら開いてみましたが topとpingぐらいしか使えません 。
helpを打ってみた結果が以下です。
crosh> help exit Exit crosh. help [command] Display general help, or details for a specific command. help_advanced Display the help for more advanced commands, mainly used for debugging. ping [-4] [-6] [-c count] [-i interval] [-n] [-s packetsize] [-W waittime] <destination> Send ICMP ECHO_REQUEST packets to a network host. If <destination> is "gw" then the next hop gateway for the default route is used. Default is to use IPv4 [-4] rather than IPv6 [-6] addresses. top Run top.
これで何をしろと...せめてsarやkillが使えればtopも嬉しいのですが。
Chrome OSをデベロッパーモードに切り替えることでbashが使えるようになるそうですが、面倒くさそうなのでやっていません。
SSHクライアント
単にChromebookをsshクライアントとして使うならば「Secure Shell」というChromeエクステンションが良いようです。 Secure ShellはChromiumによる公式のエクステンションです。
croshでsshと打った時もこれをインストールするよう勧められます。
crosh> ssh The 'ssh' command has been removed. Please install the official SSH extension: https://chrome.google.com/webstore/detail/pnhechapfaindjhompbnflcldabbghjo
opensshが色々あったせいなのかどうか知りませんが、sshコマンドは削除されたようです。
動画閲覧
Chromeがあるので、Youtubeもニコニコ動画も普通に閲覧可能です。
先述のようにディスプレイがやばいので、画質にこだわる用途にはおすすめはしません。
音質はまあ普通のノートパソコンというレベル。スピーカーはステレオで、パームレスト部分の側面に付いています。イヤホンジャックも普通にあります。
文章作成
Googleドキュメント系のアプリがオフラインでも利用可能、オンラインならOfficeOnlineも使うことができます。 使い勝手はWindowsやMacで使うそれと大きく変わりません。 さすがにWindowsで使うクライアント版Officeには到底かなわないですが、Web版に慣れていればすんなり使えます。
問題なのは テキストエディタが無い という点。 そりゃそうなのですが、VimもEmacsもSublime TextもAtomもBracketsもVisual Studio Codeも秀丸もサクラエディタもMeryも、何ひとつありません。 メモを取るにはGoogle Keep、Evernote、Onenoteなどを使ってくれ、という思想なのでしょうが、やはりちゃんとしたクライアント版のテキストエディタを使いたい場面もあります。
一応、Chromeの拡張機能としてWriteboxという超シンプルなテキストエディタがあります。 Markdownプレビューができるだけのエディタです。
最近Adobe、GitHub、Microsoftと相次いでテキストエディタを出しているので、ここらで流行に乗ってGoogleエディタみたいなのを出してくれれば解決するかもしれません。
Chromeの拡張機能サンプルとしてテキストエディタがGitHubに上がっていたので「誰か作ってくれ」という事なのかもしれません。
AtomやVisual Studio CodeはHTML5で作られてChromiumで動いてた気がするので、これらがそのままChromeブラウザで動いてくれればいいんですけどね。
あー、先述のデベロッパーモードにしてbashを使う意義はここにあるかもしれません。 デベロッパーモードで少しググると「ChromebookにUbuntu入れてみた」みたいな記事しか出てこないのですがそこまで大げさなことをするつもりはありません。 でも、普通にちょっとメモするのにVim使いたい、みたいなニーズはあると思うのです。
結論
Chromebookはサブマシンとしての域を出ないです。
- メインとなるデスクトップやハイスペックノートを持っていて、気軽に持ち歩くための2台目・3台目が欲しい
- 出先で簡単な文字入力はするが、画像処理や開発はしない
- スマホやタブレットはバッテリ持ちの悪さが気になる
- MacbookやSurface、Let's noteを買うほどの予算はない
という方におすすめだと思います。
おまけ:ChromebookとWindows Phone
この手のモバイルノートのレビューで、バッテリーとともに話題に上がるのが通信回線。
海にCB3-111を持ち出し、マウスコンピュータの Windows Phone Q501 でWi-Fiインターネット共有を使ってみました。 なおCB3-111にSIMカードスロットはありません。
CB3-111の方は快適にインターネット接続ができ、バッテリ持ちに定評があるWindows Phoneは激しく通信しても余裕で耐えてくれました。
バッテリの持ちが良いChromebookとWindows Phoneは、意外と相性良いのではないでしょうか...と思いましたが、 Windows PhoneはGoogle系のアプリが一切ない ことに気が付きました。 やはりChromebookとは相性が悪いですね。
iPhoneとMacの連携が便利なように、Chromebook使いならば素直にAndroidを持つのがベストチョイスだと思いました。